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不動産の譲渡所得税について

譲渡所得税とは

「不動産譲渡所得税」とは、不動産を売った時に得た譲渡取得金額(利益)に対して課せられる税金のことです。

「不動産の売却で利益が出たら税金を払いなさい」という極めて単純な理屈です。

譲渡取得金額を算出する

譲渡所得金額」とは、売却時に得た売却金額・固定資産税清算金(譲渡収入)から、不動産を取得する際に負担した費用(取得費)と、売却する際に負担した費用(譲渡費用)を引いた、いわゆる純利益のことです。

譲渡所得金額 = 譲渡収入(売却金額と清算金)  ー   取得費(取得した時の費用)   -   譲渡費用(売却にかかった費用)
譲渡収入の計算

譲渡収入」とは、買主から売却代金として受け取った金額に加え、固定資産税精算金が該当します。固定資産税清算金とは、不動産に掛かる固定資産税を、引渡し日当日以降の分を日割り計算し、買主が支払うというものです。

譲渡収入 = 売却金額  +   固定資産税清算金
取得費の計算

取得費」とは、土地建物の購入・建築代金が該当し、相続での場合には亡くなった人(実際に取得した方)が負担した取得代金が該当します。また、取得時に発生した仲介手数料や登録免許税、増改築等の費用も含めることができます。
取得時の売買契約書など、取得時の費用がわかるものがあれば、これに加算することができます。

 
▼建物は減価償却しなければならない

建物は売却時までに減価償却で価値が失われているため、減価償却費相当額を差し引かなくてはなりません 。次の計算式で求めます。

取得費  ×  0.9  ×  耐用年数の1.5倍に対応する償却率  ×  経過年数

※木造建物の場合、償却率は 0.031 になります。

【取得費用がわかる場合】
取得費 = 土地取得費  +   減価償却した建物取得費  +  取得時に負担した費用

 
▼取得費が分からないとき

相続した土地建物の場合、取得費用については、当時の費用が見つからないこともあると思います。その場合には、「譲渡収入×5%」を取得費として加算できます。
しかし、取得費が分からなくて5%で計算した場合、取得費が小さすぎて譲渡取得金額が大きくなってしまうため、税金が高くなってしまいます。

【取得費用がわからない場合】
取得費 = 譲渡収入  ×   5%

 
▼相続税が課税されている場合の特例

相続税が課税されていると、相続税額の一部を取得費として加算できる特例があり、土地にも建物にも適用できます。ただし、相続税の納付期限から3年以内に譲渡(売却)する必要があります。

譲渡費用の計算

譲渡費用」とは、売却時に発生した費用であれば、すべてが譲渡費用として計上できます。よくある譲渡費用とは、仲介手数料・登記費用・印紙税・測量費用・解体費用などが当てはまります。

譲渡費用 = 売却時に発生した費用の合計額

 

△ ここまでの計算で、まずは「譲渡所得金額」を算出しておきます △

 

相続した空き家売却の3000万円特別控除

国土交通省では「空き家の発生を抑制するための特例措置」と呼ばれており、年々増加する空き家を抑制することを目的に創設されました。一定の条件を満たす家屋または土地の譲渡所得金額から3000万円を特別控除する制度のことです。
厳しい適用要件ですが、うまく適用できればかなり税金が安くできます。

▼3000万円控除の主な適用条件
  • 相続により土地及び建物を取得したこと
  • 相続直前に被相続人が1人で居住していた
  • 昭和56年5月31日以前の建築された区分所有されていない家屋
  • 相続から売却までに事業・貸付・居住の用に供していない
  • 譲渡対価が1億円以下であること
  • 相続人が「家屋の取り壊し」または「耐震リフォーム」をしてから売却すること
  • 相続の開始があった日から3年目の12月31日までに売却すること

課税譲渡所得を算出する

3000万円特別控除が適用できる場合、算出した譲渡所得金額から、3000万円を差し引いた金額が、「課税譲渡所得」となります。

課税譲渡所得 = 譲渡所得金額  ー  3000万円 ※控除適用の場合のみ

譲渡所得税額(納税額)を算出する

「課税譲渡所得」に対して、以下の税率で譲渡所得税が計算されます。

短期譲渡所得(5年以内の所有) : 39.6% [ 所得税 30.63% + 住民税9% ]

長期譲渡所得(5年を超える所有): 20.315% [ 所得税 15.315% + 住民税5% ]

譲渡所得税を算出する

最終的な譲渡所得税は以下の式で計算されます。

譲渡所得税 = 課税譲渡所得  ×  39.6% or 20.315%

譲渡所得の確定申告

譲渡所得は、譲渡があった翌年の確定申告で納税しますが、住民税については翌年に市区町村から請求されるので、確定申告で納付するのは所得税です。

確定申告では、収入と支出のすべてを細かく計算して、正確な申告をする必要があり、譲渡所得の計算はかなり面倒です。
収入にあたる売却代金は、さすがに申告漏れがないと思いますが、支出について申告漏れがあると、納税額が増えてしまって損をします。

しかし、税務署は本来の納税額より少ないときに必要な調査をしても、多いときには何も言ってこないので、支出の申告漏れは問題になりません。
自ら申告して納税する制度ですから、支出が実際より少なくて納税額が増えても自己責任になり、領収書等の保管には注意しましょう。