「不動産譲渡所得税」とは、不動産を売った時に得た譲渡取得金額(利益)に対して課せられる税金のことです。
「不動産の売却で利益が出たら税金を払いなさい」という極めて単純な理屈です。
「譲渡所得金額」とは、売却時に得た売却金額・固定資産税清算金(譲渡収入)から、不動産を取得する際に負担した費用(取得費)と、売却する際に負担した費用(譲渡費用)を引いた、いわゆる純利益のことです。
「譲渡収入」とは、買主から売却代金として受け取った金額に加え、固定資産税精算金が該当します。固定資産税清算金とは、不動産に掛かる固定資産税を、引渡し日当日以降の分を日割り計算し、買主が支払うというものです。
「取得費」とは、土地建物の購入・建築代金が該当し、相続での場合には亡くなった人(実際に取得した方)が負担した取得代金が該当します。また、取得時に発生した仲介手数料や登録免許税、増改築等の費用も含めることができます。
取得時の売買契約書など、取得時の費用がわかるものがあれば、これに加算することができます。
▼建物は減価償却しなければならない
建物は売却時までに減価償却で価値が失われているため、減価償却費相当額を差し引かなくてはなりません 。次の計算式で求めます。
※木造建物の場合、償却率は 0.031 になります。
▼取得費が分からないとき
相続した土地建物の場合、取得費用については、当時の費用が見つからないこともあると思います。その場合には、「譲渡収入×5%」を取得費として加算できます。
しかし、取得費が分からなくて5%で計算した場合、取得費が小さすぎて譲渡取得金額が大きくなってしまうため、税金が高くなってしまいます。
▼相続税が課税されている場合の特例
相続税が課税されていると、相続税額の一部を取得費として加算できる特例があり、土地にも建物にも適用できます。ただし、相続税の納付期限から3年以内に譲渡(売却)する必要があります。
「譲渡費用」とは、売却時に発生した費用であれば、すべてが譲渡費用として計上できます。よくある譲渡費用とは、仲介手数料・登記費用・印紙税・測量費用・解体費用などが当てはまります。
△ ここまでの計算で、まずは「譲渡所得金額」を算出しておきます △
国土交通省では「空き家の発生を抑制するための特例措置」と呼ばれており、年々増加する空き家を抑制することを目的に創設されました。一定の条件を満たす家屋または土地の譲渡所得金額から3000万円を特別控除する制度のことです。
厳しい適用要件ですが、うまく適用できればかなり税金が安くできます。
3000万円特別控除が適用できる場合、算出した譲渡所得金額から、3000万円を差し引いた金額が、「課税譲渡所得」となります。
「課税譲渡所得」に対して、以下の税率で譲渡所得税が計算されます。
最終的な譲渡所得税は以下の式で計算されます。
譲渡所得は、譲渡があった翌年の確定申告で納税しますが、住民税については翌年に市区町村から請求されるので、確定申告で納付するのは所得税です。
確定申告では、収入と支出のすべてを細かく計算して、正確な申告をする必要があり、譲渡所得の計算はかなり面倒です。
収入にあたる売却代金は、さすがに申告漏れがないと思いますが、支出について申告漏れがあると、納税額が増えてしまって損をします。
しかし、税務署は本来の納税額より少ないときに必要な調査をしても、多いときには何も言ってこないので、支出の申告漏れは問題になりません。
自ら申告して納税する制度ですから、支出が実際より少なくて納税額が増えても自己責任になり、領収書等の保管には注意しましょう。